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§ 龍王の巫女姫 §
第22章 蛇の落とし子




───春節祭の季節


元正月をまさに翌日に控えた夜のこと。


赤い提灯で彩られていた宮中に、突如として、炎の恐怖が襲いかかった。


本殿からは距離のある
官府の奥──獄舎で起こった火事。

それは無事に消し止められた。



そして火の鎮火とともに

ある、悲劇が、王のもとへ伝えられた。




蒼慶が死んだ───



炎嗣の謀殺を企んだ蒼慶は

自身の過ちを認め、その行いを悔い

火を放って自ら命を落とした──と。




…誰もその話を信じなかった。



しかしどういうわけか、重臣達は次から次へと証拠を集めては、目の前に広げてきた。



それから宮中は二つの悲しみに包まれる。



《蒼慶》を失った悲しみと
《龍の子》に裏切られた悲しみ




…しかしである。



そんな中で、国政を退いた筈の光丞帝が、ある日朝廷にその姿を見せた。



光丞帝は臣下達を静かに睨みながら口を開いた。





蒼慶という男は

この王宮に元より存在しなかった



───と。



今後、その名を口にすることを禁ずる。



それだけを命じて、光丞帝は朝廷を終わらせた。





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