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§ 龍王の巫女姫 §
第3章 永久( トワ )の別れ唄


「……!」


その演奏は釜戸で飯を炊く花仙の耳にも届く。


水鈴は目を伏せ手先に想いを集中させた。




彼女が弓で弾くごとに、震える弦は哀愁ある音色を周囲に響かせる──。


風でさざめいていた木々がしんと静まり
まるで二胡の音色に耳を傾けているようだ。



しかし彼女が聴かせたいのは森ではない。

彼女を守る大切な男へのささやかながらの恩返しだ。


音は聴こえる…平等に
彼女にも、森にも、花仙にも。





「極上の音色で…私の手元を狂わせる気ですか」


花仙のひとりごとは届かない。

けれど水鈴の想いは音にのって彼に伝わった。



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