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§ 龍王の巫女姫 §
第23章 愛するあなた達へ
彼は名を捨て、龍の目を隠した。
慎重なことに髪色まで変えて…数年をかけて国中を廻った。
そして再び都に帰りつき
三年前──
峭椋村のある森で、水鈴に出会ったのだ。
" 視えなくとも " 彼にはわかる…。
彼女こそが三人目の預言の人間だと、彼はすぐに悟ったのだった。
預言の人間と知った上で近付いた。
水鈴はその時、巣から落ちてしまった雛( ヒナ )を両手に包み、木を見上げていた。
気づかれないよう、彼が背後から迫る──と
その時だった。
『 可哀想に…… 』
水鈴がそっと呟いた
その声が彼の耳に届いたのだ。
───…