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§ 龍王の巫女姫 §
第23章 愛するあなた達へ
これが彼女の " 力 " なのか?
「…炎嗣、君は修文殿( シュウブンデン )に行った事があるかい?」
「行った。王に即位してすぐだ」
「そうか…」
修文殿には、真の預言が記録されている。
救世主ではない、龍の子がいったい何であるかを。
「その記述によれば、水鈴様は《 哀しみ 》を背負って生まれてきた筈だ」
《 龍の髪を宿す者には、哀しみを 》
「…そうらしいな、俺が孤独で…お前が怒り」
《 龍の爪を背負う者に孤独を
龍の目を持つ者に、怒りを 》
「──…炎嗣、君にはどう見えた?彼女はそれほどに辛い思いをしていたのかい」
「……フッ、ああ…いつ見ても泣いていたな」
今度は炎嗣が笑う。
思い返せば水鈴の泣き顔ばかりが頭に浮かぶのだ。
花仙は死んだと言われた時─
自分は聖処女に戻れないと悟った時─
凶器を手にして、炎嗣に復讐をしようとした時─
村人を殺したのが花仙であると告げられた時─
水鈴は哀しみにくれていた。
これが彼女の運命なのだろうか。
だと、すれば…──