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§ 龍王の巫女姫 §
第23章 愛するあなた達へ
「おい!」
「……ハァ」
「…ち、やはり熱がまだ下がっていないな…」
足元がふらつく水鈴に、炎嗣が駆け寄る。
両肩を掴んで支えると、布越しの彼女の身体はいつもより熱を持っていた。
「医官は何と言っている?」
「…ごめんなさい…、医官様には止められたけど、探しに来てしまって」
「馬鹿が…!!」
「……っ」
炎嗣は自身の上掛けを脱いで彼女の肩に掛けてやった。
怒られたと感じた水鈴は、小さくなって落ち込んでいる。
「…ん?おい…っ」
「…は、はい」
「──…泣くなよ?こんな所で」
「…別に…ッ 泣いたりなんかしません…!」
俯いた彼女が泣いているのかと思い、炎嗣は慌てて声をかけた。
本当は少し泣きそうになっていた水鈴も誤魔化すように返事をした。