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§ 龍王の巫女姫 §
第23章 愛するあなた達へ
でも…もう 泣いてはいけないの
これ以上、花仙に甘えてはいけないの。
「──…水鈴様」
花仙は立ち上がって
水鈴の目の前まで足を進めた。
「ゆっくりとお休み下さい」
「……」
「熱にうなされるほどの恐怖だったのでしょう……炎の中に閉じ込められるというのは、それはそれは恐ろしかったに違いない」
「…違う、の。花仙……」
「──…」
確かに水鈴は怖かった。
信じてきた村長の、本当の狙いを知ってしまい…
そして炎の中で自分は焼き殺されようとしているのだと察知した時、彼女はとても辛かったし、恐ろしかった。
けれど何より胸がえぐられたのは
燃える御堂の中に、炎嗣を見つけた瞬間だ。
どうして彼が此処で倒れているのか?
どうして彼まで…巻き込まれてしまったのか?
それが辛くて、哀しくて…胸が張り裂けてしまいそうだった。