この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第24章 龍王の許嫁( イイナズケ )

「…どうしても許せなかったんだ」
「……?」
水鈴が断った杯を手に取り、炎嗣はそれを飲み干した。
「お前が自分を《巫女》だと言った…。それが馬鹿馬鹿しくて、何より許せなかった」
龍の子とは、神に嫌われた者たちだ。
理不尽な運命( サダメ )を背負わされ、蒼慶は神に殺されたも同然…
しかし水鈴は、自身は神に遣える巫女だと言う。
「故に俺は、お前を神から奪ってやろうと思った。神を恨めば恨むほど…歯止めが効かなかった。…まぁ、嫌がるお前の姿に加虐心をそそられたせいもあるがな…」
「か、ぎゃく心…?」
「──…クッ、お前にはわからないだろう」
「……っ」
また、知らない言葉が出てきた。
けれど不思議なことに水鈴は、その言葉の持つ危うい雰囲気を感じとる。

