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§ 龍王の巫女姫 §
第25章 終章
いよいよ身の危険を感じた瞬間に、鷹は不意に行く先を変える。
左にそれた鷹を安堵しながら目で追うと、降りたその場所に人の姿を見つけた。
「…え、どうしてここに…!?」
バサバサと翼で音を立てながら空中で止まった鷹に、片腕を差し出しているのは炎嗣である。
鋭い鈎爪( カギヅメ )を持った足が彼の腕をしっかりと掴み、そして鷹は翼をおさめた。
“ 朝のお仕事は終わったのかしら? ”
水鈴は彼に駆け寄った。
彼女に気付いた炎嗣は、後ろに控える侍衛を下げて人払いをする。
「おはようございます、炎嗣様」
本来なら陛下と呼ぶのが正しいと女官達に言われたけれど、水鈴は彼を、炎嗣様と、そう呼んでいる。
そうしろと彼が言ったからだ。
「…どうかされましたか?…そ、その──鷹も」
炎嗣の腕の上から、くちばしを此方に向けて見てくる鷹にひるみながら…
水鈴は炎嗣の横に立った。