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§ 龍王の巫女姫 §
第25章 終章

「後宮( ココ )に来る理由など、お前に決まっているだろう…水鈴。これと言って用は無いが」

「用もないのに来て下さったの?」

「悪いか?」

「いいえ、嬉しいです」


龍紋の織り出された紺色の深衣姿の炎嗣を、水鈴はまぶしそうに見て笑った。

深みのある色合いが彼の美貌を引き立て、衿元の銀色の刺繍とあいまって、春の庭に負けないくらいに華やかだ。


それを彼に伝えると、炎嗣は顔をしかめた。


「俺は男だ…。華やかと言うのは誉め言葉か?」

「…ぇ…違いましたか…?」

「まぁ、いいが」


水鈴は自分の失言に戸惑ったが、とくに機嫌を害したわけではないらしい炎嗣。

彼は鷹の足に括り付けられていた白い紙を取ると、ゆっくりと腕を振って鷹を空に放った。



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