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§ 龍王の巫女姫 §
第25章 終章

黙って文を読んでいた炎嗣は
「──…!」
その途中で、顔色を変える。
水鈴は何か良くない知らせがあったのではと不安になった。
炎嗣はそんな彼女と手簡…両方を交互に見比べてから、ついにその口を開いた。
「──…あいつが、桃源郷に現れた、と」
「あいつ…」
「…花仙だ」
「…ッ…本当に…!?」
思いもしなかった名前が飛び出し、水鈴は身を乗り出した。
「花仙があそこにいるのですか…!? 何故…─」
そこまで言って、彼女は考えを巡らした。
自分が炎嗣と共に離宮にいた時も、花仙は桃源郷にいたのだ。
そこでの再会は偶然だと思っていたが、もしかすると彼はあの地にゆかりがあるのかもしれない。
自分は花仙の過去を何も知らないのだから、そうだとしてもなんら不思議ではない──。

