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§ 龍王の巫女姫 §
第25章 終章
「…何処に住んでいるのかは知らないが、時々 顔を出しに来るそうだ」
「そっか…、良かった」
「──…嬉しいのか」
「はい…! だって…また会えるかもしれないから」
いつかまた、花仙に会いたい。
その時までに…もっと、人として成長していたい。
“ そうしたら誉めてくれるかしら… ”
怒る花仙も懐かしいけれどやっぱり誉めて欲しい。
水鈴は、隣で不満げな炎嗣に気付く様子もなく、小さな微笑みをたたえて空を見上げた。
グシャ──
「…え?」
しかし彼との思い出に浸っていたのもつかの間、隣で嫌な音がして彼女は振り返った。
「…炎嗣様?その…っ…手の中で丸まっているのは…まさか、お手紙、ですか」
「…ふっ…他に何がある」
「だって…シワが入って ぐしゃぐしゃですよ!? 」
「読み終えた手簡に価値など無い」
「そんな…」
花仙の安否を知らせる大事な便りだ。
炎嗣の酷い仕打ちに、水鈴は涙目になる。