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§ 龍王の巫女姫 §
第25章 終章
「覚えていてくれたのですね…」
正直、彼女自身も忘れていたのだ。
それをあれほどの怪我を負いながらも、忘れないでいた炎嗣に誠実さを感じる。
「嬉しい…」
「早く付けてみろ」
「…でも…さっきは用事はないと仰ったのに、本当はこれを渡しに来て下さったの?」
「……ふん」
付け方がわからずに手間取る水鈴から、業を煮やした炎嗣が簪を受け取った。
「──…妃に贈り物をするだけだ、そんなもの…、用と言うほどの事ではない」
「──…」
もともと付いていた玉飾りが抜き取られ
大きな蘭の花が、艶やかな結い髪にしっくりとおさまった。