この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第4章 狂気
投げた女は臆することなく、すぐにもうひとつを拾い上げて投げ付ける。
…しかし花仙は二つ目の石をかわした。
「巫女様を穢す疫病神め!」
「……巫女、巫女、巫女と…呆れたものです」
「……っ!? 」
石をかわした花仙は大きく項垂れ( ウナダレ )
俯いたまま口の端で笑う。
「よくも飽きずに此のような狂信ごっこを…」
「…!? な…なんだと…!!」
「──…水鈴は巫女ではない」
「な…ッッ」
村の者は、彼の言葉に固まった。
その言葉だけは…この村では禁句である。
周りが沈黙に包まれたところで
彼はもう一度繰り返した。
「彼女は巫女ではありません」
「だっ…だまれええええ!!!」
輪から飛び出した男が叫びながら花仙の背中を蹴りつけ、彼はその場に倒れた。
「お前っ…なんて邪悪なことを…!!!」
「……ふっ」
俯せに倒れた花仙は
地の砂利を掴みながら村人を嘲笑した。