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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第15章 守護神の書・前編
「それに、今の俺達にはそんな思い出に浸る暇はないしな!」
ルイスはアルの顔を覗くと屈託のない表情を見せた。
「うん、…そだね。
課題は山積みだもんね!」
頭に手を添えたままそっと包み込む動きに何となく癒される。笑顔を返すアルにルイスも優しく微笑み掛けていた。
ちょっといい雰囲気が漂う…
そんな二人にちびっこ達の声が届いた。
「兄ちゃーん!!
影のヤツがそっちに行ったぞーー!!」
「お、来たか!」
「ハゲのヤツ?」
「影だよバカっ…」
聞き違えるアルにルイスは呆れて返した。
…バカって、…そう聞こえちゃったからしょうがないじゃん!……
さっきの雰囲気は何処へやら…
ずんずんと歩き出したルイスの背中を追いながら、アルは口を尖らせていた。
裏門から続く高い壁沿いを歩いていく。細長く伸びた黒い影が現れるとその影は城壁を越え、地面に映り込んでいた。
影はどんどん伸び進む…
「俺の計算だとここら辺で別の影と交差するはずなんだが…」
影よりも先回りして、足を止めるとルイスは独り言のようにそう洩らしていた。