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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第15章 守護神の書・前編
腕の中のアルの感触を確かめながらルイスは声を掛けた。
アルの唇からは苦し気な吐息が漏れる。
「隊、長…さ…」
「どうした!?
怪我でもしたか!?」
うっすらと見える視界の中でアルがゆっくりと首を横に振る様が確認できた。
滑り落ちたような感覚はあった…
だがどこも怪我をした訳ではない。
上を見上げると薄暗いなりにも、外の景色が微かに覗いて見える…
そして、降り頻る雨の音も…
暗闇に慣れてくると、ルイスは自分達が階段の側に居ることに気づいた。
落ちてきたと思われる場所からループ状に沿った階段を眺めルイスはホッと溜め息を漏らすと腕の中のアルを見つめ、アルから離れた。
「待って!まだよく見えないの!」
―――!…
身体を放そうとしたルイスに一瞬すがりつく。
光をまともに目にしたせいか、まだ視界が歪んでいるようだ…
瞼を瞬かせ眉を寄せながらアルはルイスの胸の中で手を泳がせた。
様子を探りながら掴んだルイスの手にアルは時折、キュッと力を込める…
ルイスはアルのその仕草に一瞬目を見開いた。
ドクンと胸が弾む。
暗くて助かった…
そんな理不尽なことを思ってしまう。