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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第16章 守護神の書・後編
失敗か?…
静かな周りを確認し、何も起らぬ事を見定めるとルイスはアルから放れ、書物に手を伸ばす。
アルはルイスのその行動を黙って見守っていた。
長い指先が革の表紙に触れる―――
「やった!!―――」
何の障害もなく書物を手にしたルイスを見てアルは手放しではしゃいだ。
「マーク博士の出番だな」
本をパラパラと捲るとルイスは呟いた。
通路はこの場で行き止まり。これ以上進める道は何処にもない―――
今、手にしている本をマークに解読してもらい、新たな道を捜し出すより他ならない。
二人は書物を手に入れると勇み足で地下道を後にした。
「まだ、少し降ってるみたい…」
ぬかるんだ地上に出て雨空を見上げる。小降りになった雨を手の平で確認しながらアルは雨避けのフードを被り直した。
水浸しの足元がちょっと冷たい。冷えた足元に体温を奪われアルは急に襲ってくる寒気から体を庇った。
「──!?」
「寒いか?
エバにあったかい飲み物でも煎れてもらおう…」
肩を擦る手に温かみが伝わる…
アルの手の上にルイスは自分の手を重ね、そっと肩を抱き寄せた。