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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第20章 暗黒の叫び


「妃奈乃様が留守の間、あの者達だけで何とかしてもらわねばなるまい」

帝国の歴史が記された古文書が宰相の自室の卓の上で開かれたままパラパラと風に踊る。

幻仙の郷、妃奈乃達が住まう法院寺。日々、儀式を行う慶庵省山(ケイアンショウザン)と呼ばれる遠き山を見据えながら、宰相は厳しい表情を浮かべたままだった…


北の大地を古くから守り続けてきたと云われる白き神。その姿は大地に積もった雪とみまごうばかりの白銀色の鱗に覆われていると言う。

何千年も昔、光の如く現れた神が封印した邪悪なる魂。その魂を静める為にずっとこの地を見守り続けてきた白き神の巨像に異変が現れ始めたのは数年前からのこと。

宰相がこの国の首の座に着いたころ…
神の巨像はトグロを巻き、眠るように頭を低く垂らしていた姿のはずだった。

それがここ近年、毎年奉納の儀式に訪れる度に様変わりし、今は頭をもたげ、十数メートルはあろう高さまで胴体は伸び上がり、穏やかだった表情までもが攻撃的な険しい面持ちに変わってしまっている。

そして続く大地の異変で神の巨像には亀裂が入り始めていた。

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