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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第20章 暗黒の叫び
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「南国への物資の要請の文が届いた後、東の国で神の従者なる要人に続き、その使いの勇者なる者までが存在していたと相次ぎ急ぎの文が届いた…これが一体、何を意味するのか…わかるか? 我が従弟、鄭尚よ…」
朱い柱で組まれ、緑色の屋根にところどころ金色で縁取りされた建物は真っ白な雪の中でも十分その存在感を発揮する。
整った黒い髭を撫でながら塔の回廊に出て白山を眺めていた宰相は静かに口を開くと扉を開け放していた自室に戻った。
雪の花が吹雪き、背を向けた宰相の帽子についた長いフリンジの飾物をなびかせる。宰相の乳兄弟、鄭尚(テイショウ)は後に続くと室内を旋回する風を遮るように後ろ手に扉を閉めた。
「我が国の古文書に書かれていることがまことならば、また会議でこの事を知らせねばならぬでしょう…宰相様、全お国の一大事。まさに老師様がおっしゃっていた通りどんな小さな伝説や逸話でも洗いざらい調べなくてはっ」
鄭尚の言葉に宰相の太く凛々しい眉尻がキリリと引き締まった。
「わかってはおるが妃奈乃様が戻るまでは余がこの地に居なくてはならぬ。鄭尚…東の地へ出向き余の代わりをしかりと尽くせ…頼んだぞ」
「南国への物資の要請の文が届いた後、東の国で神の従者なる要人に続き、その使いの勇者なる者までが存在していたと相次ぎ急ぎの文が届いた…これが一体、何を意味するのか…わかるか? 我が従弟、鄭尚よ…」
朱い柱で組まれ、緑色の屋根にところどころ金色で縁取りされた建物は真っ白な雪の中でも十分その存在感を発揮する。
整った黒い髭を撫でながら塔の回廊に出て白山を眺めていた宰相は静かに口を開くと扉を開け放していた自室に戻った。
雪の花が吹雪き、背を向けた宰相の帽子についた長いフリンジの飾物をなびかせる。宰相の乳兄弟、鄭尚(テイショウ)は後に続くと室内を旋回する風を遮るように後ろ手に扉を閉めた。
「我が国の古文書に書かれていることがまことならば、また会議でこの事を知らせねばならぬでしょう…宰相様、全お国の一大事。まさに老師様がおっしゃっていた通りどんな小さな伝説や逸話でも洗いざらい調べなくてはっ」
鄭尚の言葉に宰相の太く凛々しい眉尻がキリリと引き締まった。
「わかってはおるが妃奈乃様が戻るまでは余がこの地に居なくてはならぬ。鄭尚…東の地へ出向き余の代わりをしかりと尽くせ…頼んだぞ」