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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第20章 暗黒の叫び
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鄭尚ははいっ、と短く返すと頭を下げる。
「そのお言葉を待っておりました。直ぐに発つ支度を致します」
そして素早く身を翻した。
勢いつけて開かれた扉がゆらゆらと揺れる。
きっちりと閉めなくとも室内は寒くはない…
風は吹雪けど積もった雪のせいか、不思議とこの地には暖を取る器具は必要無いほどの気温を保っていた。
鄭尚の出て行った扉に目をやりながら、宰相は椅子にゆるりと腰掛けた。
いたずらに風に踊らされた古文書の開いた頁を静かに見つめる。
陽の国に光の神在り
陰の国に闇の神在り
二つの目覚めが呼び起こすは災いと幸い
この世の末は先に目覚めた神の手に存在する
「災いと幸い…先に目覚めた神…」
開かれた白き神の図の下に書かれた文字を読みながら口にする。
我が国に封印されている邪悪な魂が闇の神ならば…
書に記された陰の国とはまさしくこの北の国。我が大陸となる…
この地の揺れが、もしや闇の神の目覚めを誘うものだとしたらば……
存在したという従者は確かな者なのか? ならばもう目覚めているということに?
「──……」
宰相は撫でていた髭を摘んだまま無言で白い神の頁を見据えていた…
鄭尚ははいっ、と短く返すと頭を下げる。
「そのお言葉を待っておりました。直ぐに発つ支度を致します」
そして素早く身を翻した。
勢いつけて開かれた扉がゆらゆらと揺れる。
きっちりと閉めなくとも室内は寒くはない…
風は吹雪けど積もった雪のせいか、不思議とこの地には暖を取る器具は必要無いほどの気温を保っていた。
鄭尚の出て行った扉に目をやりながら、宰相は椅子にゆるりと腰掛けた。
いたずらに風に踊らされた古文書の開いた頁を静かに見つめる。
陽の国に光の神在り
陰の国に闇の神在り
二つの目覚めが呼び起こすは災いと幸い
この世の末は先に目覚めた神の手に存在する
「災いと幸い…先に目覚めた神…」
開かれた白き神の図の下に書かれた文字を読みながら口にする。
我が国に封印されている邪悪な魂が闇の神ならば…
書に記された陰の国とはまさしくこの北の国。我が大陸となる…
この地の揺れが、もしや闇の神の目覚めを誘うものだとしたらば……
存在したという従者は確かな者なのか? ならばもう目覚めているということに?
「──……」
宰相は撫でていた髭を摘んだまま無言で白い神の頁を見据えていた…