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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第20章 暗黒の叫び


自室を歩き周り、手早く身支度を整えると宰相は隅に立掛けてあった大剣を腰に添え、後をおろおろとついて来る公晏を振り返った。


「そう、心配するな公晏」

「で、でもっ…」

「この国は大丈夫であろう…邪悪な物は恐らく東の地を求めて行ったはずだ…西と南を食い物にし、力を蓄えた…残るは東。もしや光の神を狙うつもりかも知れぬ――」

「ならば尚更、東に行ってはっ…」

宰相様に何かあってはっ…


公晏は不安気にうるんだ瞳を向けた。

雪山の中、幼い頃実の親にズタ袋に入れられ、人買いに渡される所を助けられた公晏。

鷹狩りに出掛け、それを偶然に見つけ、大金を投げて奪い去るように連れ帰り今まで育ててくれたのは…

今、目の前で武装を整え終えた宰相だったのだ。

自分を金で売った実の親よりも愛情深く接し、この国の首の座に着いてまでも側に置いて面倒を見てくれる宰相に、えたいの知れぬ危険が及ぶことは公晏自身が耐えられなかった。


「公晏…」

宰相は厳しい表情を和らげた。

「光の神に何かがあっては…もう、手の打ちようもあらぬ…この国はおろか、全ての国が消え生き物は………全滅する」

「―――…っ」

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