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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第20章 暗黒の叫び


口をモゴモゴさせてアルはエバをちらりと見る。


だ、誰にって…


…誰に……



「自、分の部屋に飾る…」
「そうかい?」

真顔になったエバから目を反らし、アルは大人しく卵に色を塗り始めた。

皆のほんのささやかなお願い。

復活祭…

晴れるといいな…



アルは仕上げた卵を眺めた。
少しの間だけでも楽しいお祭り気分を味わいたい。

やがて訪れるであろう食料難。

また…村で経験した同じ生活がやってくるのだろうから…


「よしっ! 皆できた?」

出来上がった彩鮮やかな皆の卵を集めると窓辺に綺麗に並べていく。

「自分のがどれか覚えとくんだよ」

「おう! オイラのはこれ!」

ガタガタでちょっと見にくいが、ティムが指差した青一色の卵には村の紋章が描かれていた…

「ティム……」


アルは自分の卵を見つめたままのティムを気にした。

仕方のないことだった…

村を離れることが命を守るたった一つの方法で…

何もかも…

全てを置いてきてしまったから――

幼くても胸にある。

やっぱり、

あの村が自分達の生まれた場所。


そんな思いの真っ直ぐな瞳



口を結ぶティムを見て、アルの目頭が少し熱くなった。

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