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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第20章 暗黒の叫び
…好きな人に・・・か
あたしは…
あたしは………
「やっぱり当分はお預けかな……」
真っ赤に塗ってチェック柄を描いた自分の卵を眺め、アルはポソッと呟いていた。
恋だ、なんだって…
浮かれてちゃイケナイ気がする…
あたしが一番気を引き締めてなきゃイケナイのに……
これから…
生きて行く為にやらなきなゃならないことは沢山あるから……
アルの耳には遠くで響く船の汽笛の音が聞こえていた。
南に食糧を輸出するため、日夜を問わず運航される貨物船。中でも水の輸出量は半端ではない。
水が断たれれば…
人は、生き物は生きていけないから…
それはアル達が身を持って知っている。
ごめんなさい…
ロイド…
今は……皆が好きなの……
それで許して欲しい…
小さく溜め息をつくと、カタンと椅子から立ち上がり、アルは出窓のカーテンを閉めて部屋に戻った。
部屋のランプが消されて行く中、たった一つの部屋だけ明かりが付いている。
勤勉なマーク博士の部屋だ。