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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第21章 嘆きの報復
港に着いた船から運搬されてきた物資を荷馬車から下ろしながら兵士は民達に大声で叫んだ。
「酒が飲めるってのに素直に喜べないのが残念だな」
「ああ、今の俺達にはこれは酒じゃない。命を守るための大切な水分だ…大事にしよう」
運び易いように、下ろされた樽を横倒しにしながら小さく声に漏らすと、民達は保存用の水分として送られてきた葡萄酒を、本当なら収穫を終えた小麦が沢山積まれている筈であった保存庫へと転がしていった。
「いったいどうしたらいいのか…このまま救援物資を受け続ける訳にもいかん。だが雨乞いの祈りも役には立たぬ…
カムイ達は手だてを探す為に東の地へと向かったが…
見つかった神の従者となる者にこの惨状をどう出来るというのかっ…」
頭から白い布を被り、茶褐色の肌に涼しげな麻の衣を纏った男は王座で額を抱えて首をうなだれた。
太陽の国にふさわしく、風通しの良さを計算され尽くした造りの建物の中で日避け用に吊された色鮮やかな布が揺れている。
この国の名産品、ジャワール織りの布だ。
「キエラ王…そのことについてですが……」
大きなため息を肩で吐く大王の前に一人の男が片膝をついて、静かな声で答えた。