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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第21章 嘆きの報復
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小雨が民家の屋根を叩き始め、路肩で露店を出していた商人達は店じまいに追われていた。
雨粒が少しずつ量を増し、地面をシットリと濡らしていく。
アルの家に立ち寄り、留守を聞いたモニカは妹のナッツと小走りで城へ向かっていた。
「やん、もうっ! こんな時に降るなんて!!」
アルに逢うためにせっかくお洒落して巻いた髪が瞬く間に崩れていく。
モニカは自分の頭とナッツを雨から庇いながら足を速めた。
肩に掛けたバスケットの中の物が走る勢いでカタカタと揺れている。
アルに渡す為に作った林檎ジャム。その小瓶の中のジャムも激しくシェイクされていた。
急ぐ背後からはもっと、と急かす様に雷鳴が追いかけてくる。強くなる雨足。そして濡れてまとわりつくスカートを払うモニカのすぐ傍を一頭の白馬が駆け抜けた。
モニカはキャアっと叫ぶ。
「いやーんっもう最悪っ!」
走り去った白馬の巻き上げた泥を被りモニカのスカートには泥水が撥ねている。憎しみ込めて遠くなっていくその白馬の後ろ姿をモニカは恨めしげに見送っていた。
急な天候の変化で少しばかり肌寒い。薄暗くなった城内の廊下にはランプがともされていく。
小雨が民家の屋根を叩き始め、路肩で露店を出していた商人達は店じまいに追われていた。
雨粒が少しずつ量を増し、地面をシットリと濡らしていく。
アルの家に立ち寄り、留守を聞いたモニカは妹のナッツと小走りで城へ向かっていた。
「やん、もうっ! こんな時に降るなんて!!」
アルに逢うためにせっかくお洒落して巻いた髪が瞬く間に崩れていく。
モニカは自分の頭とナッツを雨から庇いながら足を速めた。
肩に掛けたバスケットの中の物が走る勢いでカタカタと揺れている。
アルに渡す為に作った林檎ジャム。その小瓶の中のジャムも激しくシェイクされていた。
急ぐ背後からはもっと、と急かす様に雷鳴が追いかけてくる。強くなる雨足。そして濡れてまとわりつくスカートを払うモニカのすぐ傍を一頭の白馬が駆け抜けた。
モニカはキャアっと叫ぶ。
「いやーんっもう最悪っ!」
走り去った白馬の巻き上げた泥を被りモニカのスカートには泥水が撥ねている。憎しみ込めて遠くなっていくその白馬の後ろ姿をモニカは恨めしげに見送っていた。
急な天候の変化で少しばかり肌寒い。薄暗くなった城内の廊下にはランプがともされていく。