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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け
・
世界の非常時だというのに何処かしら脳天気なレオ達を牽き連れていると急に皆の足が止まった。
「なんだあの騒ぎは?」
馬小屋の方角に耳を澄ます。悲鳴のような馬の鳴き声、なんとも耳障りが悪い。
「いきり起ってるな…サカリついてんだろ? とりあえず早く行こうぜ?」
レオは足を止めたままのルイスの背中を押すと、四人はまた歩を進める。
そして、歩き出した男達にも構わずその場を動かぬ妃奈乃を振り返るとレオは声を掛けた。
「どうしたババア? 何かあったか?」
「いいや…何も無い──…あるのはこれからじゃ…」
「──…っ!」
再び不吉な事を口にする妃奈乃を皆はギョッとした目で見つめ返した。
だがそれが悪い冗談では無いことをその場の全員が悟っていた。
真顔のまま、前を見据えた妃奈乃の瞳が突然白眼を剥く。
長い艶やかな黒髪が浮遊するとあの時のように妃奈乃の身体が宙に浮き始めた。
“計り知れぬ憎悪”
“悪しき者に”
“従者の居場所が知れてしまった…”
人の物とは思えぬ声音を発し、妃奈乃の身体がぶるぶると大きく痙攣する――
不吉な予言を言い伝えると妃奈乃はその場に崩れ落ちた。
世界の非常時だというのに何処かしら脳天気なレオ達を牽き連れていると急に皆の足が止まった。
「なんだあの騒ぎは?」
馬小屋の方角に耳を澄ます。悲鳴のような馬の鳴き声、なんとも耳障りが悪い。
「いきり起ってるな…サカリついてんだろ? とりあえず早く行こうぜ?」
レオは足を止めたままのルイスの背中を押すと、四人はまた歩を進める。
そして、歩き出した男達にも構わずその場を動かぬ妃奈乃を振り返るとレオは声を掛けた。
「どうしたババア? 何かあったか?」
「いいや…何も無い──…あるのはこれからじゃ…」
「──…っ!」
再び不吉な事を口にする妃奈乃を皆はギョッとした目で見つめ返した。
だがそれが悪い冗談では無いことをその場の全員が悟っていた。
真顔のまま、前を見据えた妃奈乃の瞳が突然白眼を剥く。
長い艶やかな黒髪が浮遊するとあの時のように妃奈乃の身体が宙に浮き始めた。
“計り知れぬ憎悪”
“悪しき者に”
“従者の居場所が知れてしまった…”
人の物とは思えぬ声音を発し、妃奈乃の身体がぶるぶると大きく痙攣する――
不吉な予言を言い伝えると妃奈乃はその場に崩れ落ちた。