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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け
・
名もなき村――
今はもうなき村…
自給自足の生活をしていた故郷の村の男達と似た手をしている。
アルはカムイを見上げた。
「あなたの不安がすごく伝わってきます」
「――!?」
「あたしの村はあなたの国で起こっている同じ災害や原因不明の病に侵され滅びました…生き残ったのはたった五人」
「五、人……」
真っ直ぐな瞳で見上げるアルの言葉にカムイはショックを隠せなかった。アルは驚きながら見つめてくるカムイを前にして哀しそうに微笑んだ。
今までのいろんな思いが静かに込み上げてくる。
唇を結び瞳を伏せるとアルはまたカムイを見上げた。
「あたしは村を守りたかった…でもそれが出来なくて…っ…だから」
だからっ……
強い意思を持つ眼差し。その瞳に涙が浮かんでくる。堪えた唇でまた何かを伝えようと口を開きかけたアルをマークが呼んだ。
「ねえアル! 見てあそこ!」
マークの嬉しそうな呼びかけにアルは振り返った。
瞬間に頬を伝う涙を雨の滴と一緒に拭いさる。
アルはマークが指差す先に目を向けた。
名もなき村――
今はもうなき村…
自給自足の生活をしていた故郷の村の男達と似た手をしている。
アルはカムイを見上げた。
「あなたの不安がすごく伝わってきます」
「――!?」
「あたしの村はあなたの国で起こっている同じ災害や原因不明の病に侵され滅びました…生き残ったのはたった五人」
「五、人……」
真っ直ぐな瞳で見上げるアルの言葉にカムイはショックを隠せなかった。アルは驚きながら見つめてくるカムイを前にして哀しそうに微笑んだ。
今までのいろんな思いが静かに込み上げてくる。
唇を結び瞳を伏せるとアルはまたカムイを見上げた。
「あたしは村を守りたかった…でもそれが出来なくて…っ…だから」
だからっ……
強い意思を持つ眼差し。その瞳に涙が浮かんでくる。堪えた唇でまた何かを伝えようと口を開きかけたアルをマークが呼んだ。
「ねえアル! 見てあそこ!」
マークの嬉しそうな呼びかけにアルは振り返った。
瞬間に頬を伝う涙を雨の滴と一緒に拭いさる。
アルはマークが指差す先に目を向けた。