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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け


雨の霧が立ち込める中、薄暗い視界の先に城と街を結ぶ橋の上を走ってくる人影が見える。

「あ、モニカ!?」


その傍にはナッツも居る。
雨の中を走ってくるびしょ濡れの二人を見つけてマークは真っ先に城門前の隊員達を押し退けて駆け出していた。


アルはモニカ達の所へ行く前にカムイを振り返った。

「あたし…今度は絶対に守りたいんですっ! って言っても何が出来るかわからないけど…もうっ…何もしないで逃げるのは嫌だから…」


カムイはアルのその勢いに飲まれていた。

何に誓うでもない――

アルの真っ直ぐな瞳。そしてその輝きの向こうに少女の抱えてきた思いを痛い程に感じる。

“この少女はとても強い”

カムイは胸を強く打たれたようだった。

「……娘よ……」


アルを見つめてカムイは深く頷いた。

泣いていたアルの瞳からはもう涙も影を潜めていた。

その代わりに強い輝きが増している。

アルもカムイを見つめ返して頷いた。

村を逃げ出すしかなかったあの日…

ずっと後悔ばかりをしながら森の中をさ迷った。
何度戻ろうかと足を止めただろうか――

戻っても何の手だて一つ、持ち合わせても居ないのに…


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