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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け
アルは背中に背負った剣を確かめるように手を回した。
力も知恵も何も無い――
そんなあたしに神が世界を救う唯一の存在として与えてくれたのなら…
それは――
あたしにとっても大きな意味がある筈だから――
だからあたしはもう逃げない!
逃げても終わらない!
そう思うと同時に不思議な気持ちが沸き上がる。
剣を背負っていた背中が熱い。
守りたい。そう思うアルの気持ちに剣も同調しているようでもあった。
「アルー!」
またマークが呼んでいる。濡れたナッツに自分のマントを貸してあげながらアルを手招きするマークの姿を見るとアルはあっと声を上げて走り出していた。
ルイス達は駆け出したアルの背中を無言で見送る。とりあえず何もなくてよかったと安堵の表情でモニカの元に辿りついたアルを見つめると、腰に手を当て溜め息をついていた。
雨の中、橋の上でモニカに自分のコートを着せて城に向かうアルを確認しながらルイスは隊に指示を出した。
「何が起こるか知れん。このまま警戒体制で警備しておくように! 少しでも変わったことがあったら知らせるようにしろ!」
「はい!」
何が起こるのか全く想定出来ない。