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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け


「だめだよっ早く逃げなきゃ」

「だいじなのっモニカおねちゃんのだいじなのっ」

ナッツが指を差した先にはアルへ渡す筈だった、お礼の林檎ジャムの入った籠が転がっていた。

レオ達が戦うその傍で雨に打たれて泥にまみれた籠が無造作に転がっている。

今は戻れない!
レオ達が必死になって食い止めてくれている。

「後で取りに行くかっ…!?――マーク!! だめっ戻って!」

小さな駆け足の音が聞こえた。アルの言葉も聞かず、マークは逃げてきた方向に走り出していた。


「レオーっ! お願いっマークがっ」

「……!?」

集中していたレオの耳にアルの悲痛な叫び声が近づいてくる。

小さいながらにもすばしっこいマークの駆け足は祈りを唱えていたカムイの横をすり抜け、レオの背後に転がる籠の元へと向けられていた。


マークに気を取られたカムイの祈りが途切れる。その途端、竜巻の如くうねり上がる黒い霧の中から突如に巨大な刃の影が放たれた。
黒刃は鈍く光り、籠を手にしたマークに向けられる。
レオはその小さな身体をとっさに胸の中に庇った。


「ぐっ……!」

心の臓をえぐるような痛み、ざっくりと肉を刻む刃物の冷たい感触を背中に感じる。

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