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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第22章 悲しみの幕開け
・
あれはなんの“大丈夫”だったのだろう
残された命を守るために村を捨て、全ての物を置いて…
もう泣かせたくない
悲しませたくない
なかったのに
嘘はつきたくなかったのに――っ
ユリア……
ごめんね
「ふ…っ…うっ…」
「アルッ…泣くな…っ」
大きな手がアルの手を握り締める。傷ついたアルを膝に抱き抱えたまま、レオは成す術もなかった。
「アル?…っ」
「お前は見てはいかん…っ…」
カムイはとっさにマークを捕まえて目を塞ぐ。アルの腹部からは大量の血が流れ、雨の降る地面を静かに染めていった。
アルの瞳に涙が溢れる。
嗚咽を堪える度に身体に力が入り、余計に血が滲む。
「くそっ…っ…止まれっ…頼むから止まってくれっ! これ以上出るんじゃねえっ」
レオは必死で流れていくその血を掻き集めた。
もう無理だ、この傷じゃ――
生まれて始めてレオは弱気になった。
アルの身体を抱きながら、自分の方が震えている。
アルの小さな手を強く握りながら、自分の方が泣きそうだった。
「オラァ!! 早く医者呼べ――っ…早く…っ」
雨の降る空に向かって思いきり叫んだ。
あれはなんの“大丈夫”だったのだろう
残された命を守るために村を捨て、全ての物を置いて…
もう泣かせたくない
悲しませたくない
なかったのに
嘘はつきたくなかったのに――っ
ユリア……
ごめんね
「ふ…っ…うっ…」
「アルッ…泣くな…っ」
大きな手がアルの手を握り締める。傷ついたアルを膝に抱き抱えたまま、レオは成す術もなかった。
「アル?…っ」
「お前は見てはいかん…っ…」
カムイはとっさにマークを捕まえて目を塞ぐ。アルの腹部からは大量の血が流れ、雨の降る地面を静かに染めていった。
アルの瞳に涙が溢れる。
嗚咽を堪える度に身体に力が入り、余計に血が滲む。
「くそっ…っ…止まれっ…頼むから止まってくれっ! これ以上出るんじゃねえっ」
レオは必死で流れていくその血を掻き集めた。
もう無理だ、この傷じゃ――
生まれて始めてレオは弱気になった。
アルの身体を抱きながら、自分の方が震えている。
アルの小さな手を強く握りながら、自分の方が泣きそうだった。
「オラァ!! 早く医者呼べ――っ…早く…っ」
雨の降る空に向かって思いきり叫んだ。