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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第25章 密葬
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「策が何一つ見つからぬ…あやつが姿を現した以上、民にももう隠してはおけぬな……」
王は深いため息をついた。
◇◇◇
夜半に差し掛かった頃、ルバールの国に降り続く雨はまるで悲しみを背負ったように強くなっていく。どしゃ降りの雨が窓を打ちつけ、流れ落ちる滝の様に外の視界を塞いでいた。
薬草の香る室内は明かりをほんの少しに留めている。
ルーカスはアルの細い手首を握り脈を計った。
集中しないと見落としそうになるほどに弱々しい──
微かに繰り返される浅い呼吸。
静かに眠るアルに掛けたシーツをルーカスはそっと捲った。
雑作に巻かれた白い包帯は既に真っ赤に染まっている。白い腹を裂いた大きな刄(やいば)は人間が生きるために大事な臓器をえぐり出し、アルに徹底的な致命傷を負わせていた。
運ばれてきたアルの身体はどこから手を付けていいのかも判断できかね、ルーカスは絶望に頭を振るしかなかったのだ。
止血薬も効かず、溢れる生暖かい血のせいで針を何度も手から滑り落としながら、ルーカスはやっと傷口を縫合し包帯を巻き上げた。
必死の作業。出来ることは全て尽くした──
「策が何一つ見つからぬ…あやつが姿を現した以上、民にももう隠してはおけぬな……」
王は深いため息をついた。
◇◇◇
夜半に差し掛かった頃、ルバールの国に降り続く雨はまるで悲しみを背負ったように強くなっていく。どしゃ降りの雨が窓を打ちつけ、流れ落ちる滝の様に外の視界を塞いでいた。
薬草の香る室内は明かりをほんの少しに留めている。
ルーカスはアルの細い手首を握り脈を計った。
集中しないと見落としそうになるほどに弱々しい──
微かに繰り返される浅い呼吸。
静かに眠るアルに掛けたシーツをルーカスはそっと捲った。
雑作に巻かれた白い包帯は既に真っ赤に染まっている。白い腹を裂いた大きな刄(やいば)は人間が生きるために大事な臓器をえぐり出し、アルに徹底的な致命傷を負わせていた。
運ばれてきたアルの身体はどこから手を付けていいのかも判断できかね、ルーカスは絶望に頭を振るしかなかったのだ。
止血薬も効かず、溢れる生暖かい血のせいで針を何度も手から滑り落としながら、ルーカスはやっと傷口を縫合し包帯を巻き上げた。
必死の作業。出来ることは全て尽くした──