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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第25章 密葬


胴体に巻き付けられた包帯は時間が経過した為に、周りに染みた赤い血は空気に触れたせいでドス黒く変色している。

だが真ん中はみずみずしく鮮やかな赤色だ。まだ新しく血が滲んでいることを否応無しに見せつけている。


「すまない……もうなにも…術がないんだ」

ルーカスは悲痛な表情を浮かべると声にならない声でアルに詫びた。


助けたいもの

守りたいもの

愛しいもの……

人それぞれにとって、全てがかけがえのないもの──



ロイドはベッドの脇のランプにふっと息を吹きかけた。

いつもの無邪気な寝顔が無意識に恐ばっている。アルを心配し、一向に眠りにつけなかった子供達はエバの作ってくれたハニーミルクに少し癒されたのか、小さな寝息を立て始めていた。

目の前で消え逝く命を何度と見てきた…

ベッドに横たわるアルを見て、泣きそうな瞳と奥歯を食い縛り怖いくらいの厳しい表情を浮かべた子供達。

何かを覚悟したような…


大人でさえもそんな表情は中々出来ない。


仮眠用に院内の空きベッドを借りて子供達を寝かしつけたロイドは部屋の灯りを一つだけ残して静かに扉を閉めた。


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