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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第25章 密葬


「やっと寝たか…」

「ああ…」

仮眠室前の通路の壁に寄りかかり、腕を組んだままザドルは声を掛けた。

静かに答えを返すとロイドはふっと笑う。

「強いっていうのか…あいつら見てると俺の方が堪らなくなる……」


「泣くのはまだ早え…チビ達もそう思ってんだ……絶望も希望も隣合わせ。まだどうなるかは分からねえ…大人は諦めるのが早すぎるからな…」

「そうだな……」

ゆっくりとした口調。語った後に深く長いため息を吐く。アルを心配するザドルの不安が無意識に呼吸となって吐き出される。


絶望と希望──


アルはまだ生きている。

望みを絶たれた訳じゃない

ただ…


アルが苦しみと闘う傍で何もしてやれない自分に腹が立つ──



勇者として選ばれたルイスとレオ…

アルと共に痛みを感じ二人は闘っている。


俺にはそれさえも与えられない。


アルと苦しみを分かち合うことさえも……



ロイドはザドルの言葉に同意を返すとアルが眠る病室へと向かった。


壁に飾られた燭台のろうそくが風で揺れる。
廊下を歩く人の影が巨人の様に姿を変えては辺りを暗くする。

ロイドは扉を小さくノックをすると中に入った。


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