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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第25章 密葬


ルーカスはもう一度アルの脈を計り、胸元に耳を当てた。

ドクドクと速すぎる鼓動が聞こえてくる。

「違う、これじゃないっ…」

速まる自分の心臓の音ばかりでアルの鼓動が全く聞こえてこない。
ルーカスはアルの胸元を剥がし心臓に何度も刺激を与えた。

「まだ早いっ…早すぎる…」

願いが口から零れ視界が歪んでくる。アルの心臓を必死でマッサージしながらルーカスは声を張り上げた。

「シェラ!!早く皆をっ」

叫び声が途中で詰まった。表情を崩したまま、ルーカスは声にならない震える言葉を繰り返した。

「早くっ…早くみんなにっ…みんなにっ……」

今夜を乗り越えてくれれば何とか望みもある。止まることのない涙を拭うことも忘れ、絶望と闘いながら休むことなくルーカスは手を動かした。額には汗が滲み溢れてくる。

強すぎる力で圧迫され、反応のないアルの身体が激しく揺れた。



なんの為に医療を学んだ!?

俺は何の為の医者だ!?

この少女を救えなければ人々は――

この世界は救えないというのにっ


この少女のたった一つの命さえ俺は――っ



綺麗な顔を歪めながらルーカスは必死で蘇生のマッサージをアルに施し続けた。

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