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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者


ブランデールはセラスのその表情から全てを見た。

「うむ…急な命(めい)にも慌てぬ切り替えの早さは次なる王にふさわしい。国を守る為には状況に合わせた判断力が物をいう場合もある。キエラ大王も貴殿に期待して居ることだろう──」

「はい、大王と私自身の名誉の為にも期待に応えねばなりません」

セラスはブランデールからの賛辞を有り難く受けとめていた。

四大大陸の中でも一番大きな国勢を誇るルバール王国の王に認められたら話しは早い。各国にもジャワールの次世代の王“セラス・オルガ”の名前が轟くことは間違いないだろう。

東へ自ら出向かせたのは、大王の策略だったのかも知れぬ。

王などと呼ばれることに欲もわかぬセラスに使命として与えて仕舞えば承けざるおえない。

しかもとても難儀な大役だ。

セラスは「やられた…」と呟くと心密かににやりと笑みを浮かべていた。


雨音に紛れ、十時を知らせる鐘が鳴る──

大木の生い茂る山林の奥深く、石を積み上げた祠の中でずぶ濡れになった逞しい肩が揺れていた。
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