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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者
壁際には二本の剣が無造作に立て掛けられている。しかし、よく見れば二本ともボロボロに刃こぼれしていた。
一体、何を斬ってここまで傷んだのか。剣の持ち主は自分の大事にしていた銘刀“斬風剣”には見向きもせず、目の前に祀られた一族の宝剣、二本の“疾風剣”と“迅雷剣”に手を伸ばした。
“なんだかレオにもう逢えない気がして──”
手作りの木笛を届け、背を向けたレオにアルが言った言葉。
その時のアルを思い出し、土に埋もれていく棺を最後まで見届ける事はおろか、レオはその場に居ることさえ出来なかった。
大剣の大きなぎざついた刃が暗闇でも鋭く光る。
両手を伸ばし、二本の剣の柄を同時に握りるとレオはその手に力を込めた。
「アル…待ってろよ…仇なんか直ぐに討ってやるっ」
握り締めた手の甲が青く光る──
剣を手に取りシャッと風を唸らすと、レオは空を斬る素早さで両脇の腰に収めた。
認めの印が共鳴する──
三の勇者が集うとき
神の住む村への扉が開かれる
三の勇者の心一つなら
聖女の丘に女神降臨す──