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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者
・
突然、会議室の扉が勢いよく開かれた。
そこにいた皆が扉の方をいっせいに向く。
入り口に立って居たのはロイドだった。
突然のロイドの行いを止めきれなかった番人がロイドの背後でオロオロとしている。
「どうした?」
読み終えた文書を丸めながらルイスは表情の堅いロイドに何事かと声を掛けた。
「もう今更遅いと思って報告もしなかったんだが…」
ロイドは沈痛な面持ちで口を開き始めた。躊躇いが溜め息となって静かに吐き出される。
ロイドは自分の手の平に視線を落とした。
自分も勇者の一人として選ばれた。それをまだ目覚めぬアルの枕元で報告だけでもと急いだ夜道。切れてしまったチョーカーに不安を煽られながらも雨の中を懸命に走ったのに…
涙を堪えきれず震えるレオの腕に抱かれたまま、アルは息絶えた姿でロイドを迎えていた。
周りで泣いている皆が嘘をついているように思え、そして悪い夢が続いていると自分自身にも思い込ませた。
だが冷たい現実は降り頻る雨と共に全てを曝す。
棺の中のアルに別れも告げられぬほど辛かった。だが一番辛かったのはアルに違いない。
突然、会議室の扉が勢いよく開かれた。
そこにいた皆が扉の方をいっせいに向く。
入り口に立って居たのはロイドだった。
突然のロイドの行いを止めきれなかった番人がロイドの背後でオロオロとしている。
「どうした?」
読み終えた文書を丸めながらルイスは表情の堅いロイドに何事かと声を掛けた。
「もう今更遅いと思って報告もしなかったんだが…」
ロイドは沈痛な面持ちで口を開き始めた。躊躇いが溜め息となって静かに吐き出される。
ロイドは自分の手の平に視線を落とした。
自分も勇者の一人として選ばれた。それをまだ目覚めぬアルの枕元で報告だけでもと急いだ夜道。切れてしまったチョーカーに不安を煽られながらも雨の中を懸命に走ったのに…
涙を堪えきれず震えるレオの腕に抱かれたまま、アルは息絶えた姿でロイドを迎えていた。
周りで泣いている皆が嘘をついているように思え、そして悪い夢が続いていると自分自身にも思い込ませた。
だが冷たい現実は降り頻る雨と共に全てを曝す。
棺の中のアルに別れも告げられぬほど辛かった。だが一番辛かったのはアルに違いない。