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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者
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◇◇◇
北東の平野部を冷たい風が走り抜ける。ちらりと舞う雪の量も北の山を降りれば、数もだいぶ減った様だ。
夜の闇に炬(たいまつ)の灯火が踊る。足元には黄色い小花がささやかに揺れていた。
辺りの大地は緑の塗装が剥げたように所々に雪の固まりが残っている。
少数の隊を率いた宰相の列はそこに腰を下ろし、今夜の休憩を取っていた。
「あとどのくらいだ?」
宰相は訪ねた。
「あちらの上空、あの辺りがルバール大国です。あと七里程の距離になりましょう」
「うむ…」
先にルバールへと向かっていた従弟の鄭尚と合流し、促された方角に目を向けて頷くと、宰相は脇に提げていた竹筒の水を口に含む。
夜半に差し掛かった暗がりの中、宰相は喉を潤して再び東の大国の上に広がる一段と黒い空を眺めた。
やはりあの勢いのまま、東の地に向かっていたか…
大山を突き破り、放たれた闇の王の狙う先は思った通り、神の従者が居るというルバール大国だった。
◇◇◇
北東の平野部を冷たい風が走り抜ける。ちらりと舞う雪の量も北の山を降りれば、数もだいぶ減った様だ。
夜の闇に炬(たいまつ)の灯火が踊る。足元には黄色い小花がささやかに揺れていた。
辺りの大地は緑の塗装が剥げたように所々に雪の固まりが残っている。
少数の隊を率いた宰相の列はそこに腰を下ろし、今夜の休憩を取っていた。
「あとどのくらいだ?」
宰相は訪ねた。
「あちらの上空、あの辺りがルバール大国です。あと七里程の距離になりましょう」
「うむ…」
先にルバールへと向かっていた従弟の鄭尚と合流し、促された方角に目を向けて頷くと、宰相は脇に提げていた竹筒の水を口に含む。
夜半に差し掛かった暗がりの中、宰相は喉を潤して再び東の大国の上に広がる一段と黒い空を眺めた。
やはりあの勢いのまま、東の地に向かっていたか…
大山を突き破り、放たれた闇の王の狙う先は思った通り、神の従者が居るというルバール大国だった。