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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者


宰相は白き神の使者達と話し合った後、急ぎで大臣達を集め会議を開いて帝国を後にしたのだ。

「しかし、よろしかったのですか?宰相様までが国を離れて…」

鄭尚は戸惑いながら口にした。

「我が国は重臣達に任せてある。何よりも先にせねば成らぬこと…それは神の従者を守ることだ」

静かにそう語ると宰相は竹筒の水をまた口に含みブラシを手にした。

平地とはいえ、旅の疲れは溜まるものだ。休ませていた馬にブラシを掛けながらマッサージを施すと、馬はもっと、と言わんばかりにしっぽをはためき催促を繰り返す。

国の帝(てい)になっても自ら行動する。そんな泥臭い所が好きだ。

鄭尚は部下に交じって自分の馬の世話をする宰相を尊敬の眼差しで見つめた。

国を治める者はこう在るべきだ。

威張り散らせば威厳が保たれると勘違いしていた前帝とは比べものにならない。

剛の中に柔を併せ持つ逸材──
我が乳兄弟ながら鼻が高い。

鄭尚はもう何も言わず自分も馬にブラシを掛け始めた。

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