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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者
「もう我慢ならん!」
男は拳を強く震わせて、誰にともなくそう言葉を投げつけた。
「このような争いがいつまで続くのかっ…」
堪らず絞り出した声が詰まった。
薄くランプの光りを灯した家の中で、数人の男達が重い表情を浮かべている。
肉付きのいい顎を擦りながら体格のいい男がぼそりと言った。
「まあ…わしもそろそろ限界だがや。この国をこのままにするわけにはいかん」
「ああ、バルギリー…やはり我々で手を打つしか道はないのだな」
男の胸元に下げられた銀の十字架がキラキラとランプの火を小さく反射する。
静かに会話が交わされ、そこにいた皆の顔がゆっくりと頷いた。
庭師のバルギリーに、教会の神父ハワード、そして、街一番の腕利きの大工の棟梁 ワーグと小さな学校の理事長 メアリー女史 この四人が偽りの平和な国に革命を起こした。
バルギリーが名乗りを上げるとそれを筆頭に国の若者が集まり義勇軍が立ち上げられた。
腐敗した政治とそれに巣食う権力者達。
その国の有り様に嫌気のさしていた国の兵士達はあっさりと義勇軍に寝返り、否応なしにこの国は民達のものとなったのだ。