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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者


「恐ろしい思いをしているのはどこの国も同じだ」

「それはどういうことだ?」

怯える民に目をやりながら呟いた摩耶の兵士にワーグは尋ねた。

「先達てのことだ…我が国の大山に封じられていた魔物が封印を解き北の大地を揺るがした…長きに渡り、封印の巨像を白き神の使い手達がずっと見守ってきていたが続く地響きで、もう神の巨像は限界がきていたって話だ。守り神の像を破壊し、飛び出した黒い魔物はそりゃあ恐ろしい容貌で唸り声を上げて東の方へと向かっていった」

「東に!?」

「ああ」

東…バルギリーが向かった先ではないか!?

「帝の話では東に魔物が求めるものがあると…」

「東に魔物が求めるものが?いったいそれはっ…」


「食事の準備が整いましたよ」

ワーグが兵士に詰め寄ると、恐怖への不安を振り払うようにメアリーが回りの民逹にそう大きな声で告げた。

「詳しい話はまだ私たちも知らされていないが、いずれここにも何らかの情報が届く。何も解らぬ今は目の前の命を紡ぐよう、前に進むだけだ」

「…あ、ああ、そうだな。確かにそうだ」

ワーグはそう繰り返した。
夜ももう遅い。暗くなった広場では即席で作られた瓦礫のイスやテーブルが並んでいる。

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