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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第26章 選ばれし者
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まるで野生の馬だ。ロイドの黒馬は手綱を振り切るように自分の思うまま脚を速めたのだ。
「こんなときにどうしたっていうんだ!?」
顔をしかめ、首にしがみ付くように手綱を短く握り締めると、ロイドは苛立たし気に黒馬の頭上からそう問い掛けた。駆け抜ける速さで街中の景色が一気に流れる。無心で走る黒馬の背の上でロイドはそれを横目にやり過ごすしかなかった。
皆が懸命に捜索にあたる。
方々へと精鋭の隊達が散り、雨の中、街中でチラチラと灯りがちらつく。高い屋敷の屋根の上からそれを目でさらりと追った後、額を流れる雨の雫を腕で強引に拭うとレオは灯りの点らぬ人気のなさそうな場所に目をやった。
走り続けたせいで息が上がり、熱をもつ逞しい背中が打ち付ける雨を弾き返し蒸気を立たせる。
前を見据えると
「……直ぐに連れ戻してやるっ──」
強い意志を感じさせる眼孔を鋭く光らせ、誰に誓うでもなくレオはそう小さく呟いた。
大量に天から注ぐ雨。
そのせいで草花に埋もれていた地の至るところに大きな水溜まりが出来ている。
白い素足はその水をぴちゃりと跳ね上げながらゆっくりと歩を進めた。
まるで野生の馬だ。ロイドの黒馬は手綱を振り切るように自分の思うまま脚を速めたのだ。
「こんなときにどうしたっていうんだ!?」
顔をしかめ、首にしがみ付くように手綱を短く握り締めると、ロイドは苛立たし気に黒馬の頭上からそう問い掛けた。駆け抜ける速さで街中の景色が一気に流れる。無心で走る黒馬の背の上でロイドはそれを横目にやり過ごすしかなかった。
皆が懸命に捜索にあたる。
方々へと精鋭の隊達が散り、雨の中、街中でチラチラと灯りがちらつく。高い屋敷の屋根の上からそれを目でさらりと追った後、額を流れる雨の雫を腕で強引に拭うとレオは灯りの点らぬ人気のなさそうな場所に目をやった。
走り続けたせいで息が上がり、熱をもつ逞しい背中が打ち付ける雨を弾き返し蒸気を立たせる。
前を見据えると
「……直ぐに連れ戻してやるっ──」
強い意志を感じさせる眼孔を鋭く光らせ、誰に誓うでもなくレオはそう小さく呟いた。
大量に天から注ぐ雨。
そのせいで草花に埋もれていた地の至るところに大きな水溜まりが出来ている。
白い素足はその水をぴちゃりと跳ね上げながらゆっくりと歩を進めた。