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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村
皆が見守る中で、柄まで剣が突き刺さる。
「…!?っ…きゃ…」
「──うわ…っ…来たかっ…」
急に激しく揺れだした地下内でアルとルイス達は咄嗟に身を低くした。
身構えながら天井や壁を確認する。強い揺れだが崩れる様子はみられない。
床に刺した剣に掴まりしゃがみ込むアルの傍に行くと、ロイドはアルを庇うように胸に抱いた。
一体、この揺れは何だ。まるで国一つが崩れても可笑しくはないほどの地震だ。
下手に口を開くと舌を噛みそうになる。皆は歯を食い縛り、揺れが収まるのをじっと待つ。
「……っ…これか!? 城であった地鳴りってえのは!?」
レオが険しい表情を見せながら辺りを見渡し吠えるように口にした。
波打つように大きい揺れが徐々に小さくなっていく。だがまだ油断は出来ない。そう構える四人の考えとは裏腹に、揺れは突然ピタリと収まっていた。
「──……止まったか…」
額に汗を滲ませルイスは呟く。立ち上がるべきかをどうかを判断する前にゆっくりと皆と顔を見合わせていると、周りを囲む石の壁が静かに動き始めた。
ズズズ──…と石が擦れる音だけがする。
まるでトランプのカードでも切るように、長方形に分列した壁が右へ左へとからくりの如く移動する。
その大きな壁が両脇に畳まれていくように収まると、真ん中が開開き、奥には文字の刻まれた扉が現れていた──。