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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村
「……っ…あれは」
「待てアル!」
一歩踏み出したアルをロイドが止めた。
「俺が先に行って様子を見る」
「でも…っ…」
「その方がいい。神獣が進めと言ったからには神の従者に危険なことは起きないと思うが……念には念を……だ」
戸惑うアルの肩にルイスは手を置いた。
レオはルイスの言葉にふんっと笑う。ロイドのすぐ後を歩きながら、レオは頭の後ろで腕を組んだ。
「神の神獣だからってえ……安全を約束してくれるとは限らないぜ?俺等は特にな……」
「ああ、ルイス。レオの言う通りだ。俺達は“試練”を与えられるわけだしな……」
ゆっくりとした足並みで付いて来るレオの言葉にロイドが返していた。
ロイドは大きな扉を見上げ、目の前に刻まれた文字を手でなぞる。
扉全体を隅々まで眺めると、後から来たレオも一緒になって周りを調べた。
二人が言うように油断が出来ないのは確かなことだ。アルは扉付近を歩き回るロイド達を見つめる。
“名もなき村に通ずる道”
地図に書かれていたことが本当であるなら、この扉の向こうは生き残る為に逃げ出してきた筈の故郷に続く扉となる。
もしそうなら戻っても大丈夫なのだろうか。
アルは不安な表情を浮かべる。奥からはロイドの声が聞こえていた。
「どう書いてあるかは読めないが、地図にあった文字の形に似ている。今のところ、危険は無さそうだ。剣を刺し込める隙間もある。たぶん、また鍵穴だと思うが……」
「わかった。じゃあ行ってみよう、アル」
安全の確認を取るとルイスはアルと扉へ向かった。