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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村
もう一度、扉全体を見上げたアルの喉元がごくりと鳴る。
アルは目の前にある細い隙間を見つめ、肩で深く息を吐いた。
覚悟を決めて、剣の先端を隙間に宛がう。剣を握る手に力を込めるとアルはゆっくりと柄の根本まで突き刺した。
その途端だった──。
細い隙間からとても眩しい光が漏れる。
咄嗟に顔を背けたアルは刺さった剣を握ったまま、眩しそうに眉を寄せた。
その両側でロイドとルイスも金色の射光を遮るように腕で顔を庇う。
アル達よりも一歩下がった位置にいたレオは、眉をしかめながらその隙間を睨むように眼を凝らした。
光は徐々に広がり扉全体を包んでいく。
その眩しさに少し慣れてきたかと思った瞬間、また地面が唸るように揺れ始めた。
「……あ…っ」
「大丈夫かアル!」
アルの足元がよろけ、ロイドとルイスが同時にアルの肩を支えていた。
「…う、うんっ…大丈夫っ…」
二人に護られながらもアルは目を見張る。
「──っ!?……見て!…扉がっ」
地鳴りと共に真ん中から両側へ開き始めた扉に四人は固唾を飲んだ。