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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第27章 名もなき村
「……開…いた」
呟いたロイドの額に小さな汗が滲む。
“すべての道に通づる入り口──…”
その扉が今、開かれる──
「 さあ……進むがいい──…選ばれし者達よ──」
何処からともなく声が響き、コツっと後ろで固い蹄の音がした。
振り返ったアル達の背後にいつの間にかティールが立っている。ティールは真っ直ぐの瞳でアル達四人を見つめた。
「急げ……悪しき神は力を蓄え再びこの地に甦る──…次は完全なる姿となりこの世界を闇にする──」
「……っ…」
「従者よ……」
ティールの言葉に表情を強張らせたアルは、呼び掛けられて目を見開いた。
「女神がこの奥で待っている……」
「女…神が……」
ティールは緊張しているアルを見つめるとしっかり頷いた。
「行け……女神の洗礼を受けたのち……従者はその者達の試練に立ち会わねば為らぬ──」
「──…試練っ…」
アルが呟くとティールの身体はゆっくりと宙に浮いていく。
駈けるように空中で動く足並み。ティールは高い位置からアル達を見下ろす。
ティールは真上を駈けながら言った。
「乱れぬ心 挫けぬ強さ 信じる力を得て神の業を受け継ぐ器と成るために──…さあ、行け──」
「あ、待っ……」
言葉を残し、駆けて消えていくティールにアルは手を伸ばす。
ルイスはそんなアルの肩を掴んだ。