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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
「心配無用だな!」
大剣を肩に担ぎ、レオが足を止めて振り向いた。
「前から風が抜けてる。出口が近い証拠だ。あと一刻も歩かん内に“どこか”に出る」
レオはそう断言するとまた前を向いて歩き出す。
こういった道に慣れているレオが言うのだから確かなのだろう。
だがその出口はいったい何処に続いて居るのだろうか。
名もなき村へ通ずる道だとしても、こんな洞窟に続く入り口は村でも見たことがない。
もちろん、村の大人達からも聞いたことがなかった。
アルは再び不安を浮かべる。
そんなアルの気持ちを背中越しに察してレオは言った。
「アル!大丈夫だ。お前はなーんも考えるこたあない!」
「でも…っ…」
前をずんずん進むレオにまるで見えない縄で引っ張られているように、アル達も歩を進める。
アルは前を向いたままのレオの大きな背中を見つめる。
レオは笑うとゆっくり口を開いた。
「お前は黙って俺に守られてりゃいい。どうせ考えるなら闇の王とやらを倒した後のことを考えとけ」
「倒した後?……」
「おお!そうよ!」
アルは明るく語ったレオの言葉に何故か戸惑っていた。
闇の王を倒した後のことなんて考えてもみなかった。ただ、この現実を乗り越えることに今は必死で心に余裕がなかったからだ。