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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
いい男達揃っての然り気無い優しさがもぞがゆい……。
自分は従者なのに……っ
神に選ばれた存在なのにっ…
世界を守っていかなきゃイケナイ立場なのにっ……
こんな風に扱われたらなんだか気持ちが弱くなっちゃう……っ…
背を向けたアルの後ろ姿が何かを堪えたように震えている。
「こっちは崖だ。やっぱ向こうの丘まで行った方がいいな」
伸び放題の草を剣で払いながら軽く見回りを済ませたレオがその場に居たアルにおっ?と気付いた。
「どうしやがった、アル?」
「何でもないよ……」
顔を腕で隠しながらチラリとレオに目を向ける。
その仕草にレオはまた、おっと目を見開いた。
「バカヤロウ……何でもないことあるわけねえ。んな可愛い顔してチュウするぞ……」
「……っ!?…」
むうっとタコのように突き出されたレオの顔は赤くただただイヤらしい……。
焦ったアルに迫るそんなレオの肩を丁度、洞窟から上ってきたロイドが強く鷲掴んだ。
「アルに近付くな…っ…」
「……っ!?てああっロイドお前っ土くらい払えっこのバカヤロウ…っ…」
「山で暮らすヤツが土の汚れなんか気にするな。行くぞアル」
汚された肩に腹を立てるレオを冷やかに見据え、ロイドは自分の手の土を払うとアルの肩を抱く。
「おい!待ちやがれ!俺様が先に行くぞっ」
「なら十メートル前を歩けっ…」
「何をっ!?くそロイドっ…待ちやがれ!」
丘に向かって歩く叫び声が小さくなっていく。
アルを取り合うロイドとレオを見つめ、ルイスは目を伏せ笑みを浮かべる。
そして何故かルイスは笑ったその口端を小さく噛み締めていた……。