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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
崖の上にせり出した高い丘の先まで来ると、アルはその下に目をやってあっと声を上げた。
「どうした?」
「あそこに村が……」
声を掛けたロイドはアルが指差す方を見る。
そこにはアルが十数年暮らした故郷。名もなき村が存在していた。
「あれがそうか……」
「うん……」
「なら伝承の地であってるってことだ。ここが……」
ルイスの言葉にアルは無言で頷いた。
少し遠目だが、随分と荒れ果ててしまったのが見てとれる。
人が住まなくなるとこうも簡単に朽ちてしまうのかと、崩れた木の屋根をじっと見つめた。
「──……」
アルはハッとする。
廃れてしまった村を悲し気に見つめるアルの目の前に、とても小さな光が現れた。
「っ……」
「アル!そこから下がれっ」
驚いて目を見開くアルを咄嗟に皆が庇う。
前に出てアルを背中に押しやるとレオは腰の剣に手を掛けて身構えた。
悪い気配は感じなくとも反射神経がそうさせる。
警戒しながらも何も害が無いと判断すると、レオは剣から手を放した。
「大丈夫だ……害はねえらしい……」
そう口にしたレオの前で、小さな光は徐々に大きさを増していく。
宙に浮いた状態でキラキラと眩い光を放ちながら、その光の中に人の姿が浮かび上がっていた。