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[続]天地を捧げよ〜神剣伝説〜
第28章 女神の降りる丘
ぼんやりとした姿だが、それが女であるとはっきりわかる。
「女神か……」
ルイスの呟きに皆が確信を持っていた。
光を全身に纏った女の顔がアルに向けられている。
“従者……待っていましたよ……あなたが来ることをずっと……”
光の女は優しく微笑んでいた。
とても高い声なのにすごく耳に馴染んで心地いい──
知っている。
この声をあたしは知っている。
小さな頃からまるで子守唄のように聞いていたこの声。
「……女…神さま…ですか……」
そう尋ねたアルに光の女は穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
“あなたに神々の力を授けます……”
「……ちから……」
“そう……力を……”
「………」
“あなたはこれから闇の力と対峙しなければなりません……”
「闇の……っ…でもっ……あたしではあの闇の王にまた負けてしま…っ…」
言いかけて唇を強く噛んでいた。
アルはずっと聞きたかった。
何故自分が選ばれたのか──
こんな力も何もない子供な自分に何故世界の行く末を託そうとするのか。
伝承の地の民でいいのなら、村にはもっと相応しい男達がいたはずなのに──
思い出して声を張り上げたアルを女神は真っ直ぐに見つめる。
そして目を伏せて顔を横に振った。